宮城独自の酒米を作りたいという念願叶って「蔵の華」が開発され、酒米の品種に登録されたのは一九九七年のこと。「酒蔵の中で酒香を漂わせ人を酔わせる華となるお米」ということから、この名がつきました。以来、「蔵の華」を地元気仙沼の農家さんに栽培してもらい、酒蔵である私たちが買い取って酒を造り、それをまた地元の人たちに飲んでもらうという循環が生まれました。そのことによって田んぼを守り、田んぼを守ることで農村風景を残し、水も守るという仕組みをめざしました。「蔵の華」は、米の粒は大きく、低タンパク質のため、雑味のないすっきりとした酒が醸し出されます。
また、地元気仙沼で造った酒米で造る「地米酒づくり」が、「地米酒づくり研究会」を中心に、生産農家、蔵元、県、市が一体となって進められています。田植え、除草、稲刈りから酒造りまでを、一般のボランティアで構成する「酒米サポーターズクラブ」の皆さんが支援しています。原料生産だけでなく、豊かな自然とそれを地域で生かしていく知恵を多くの人が学ぶ機会となっています。「蔵の華」が栽培されている廿一(にじゅういち)地区は、市内北西部の岩手県との県境に近い場所に位置し、豊かな山々に囲まれ、市内で最もきれいな水を有する廿一川が流れます。地米酒づくりを機に「清流蔵の華廿一会」が結成され、「蔵の華」の栽培にご協力をいただいております。